TOYOMAKI COLUMN お役立ちコラム
2024.03.25 小児歯科

歯並びに影響することも? 子どもの口呼吸のデメリットや原因について

私たち人間は鼻で呼吸するのが基本ですが、「口呼吸」が癖になると実は歯並びの悪化や虫歯など、様々なトラブルを引き起こす原因となります。
しかし、近年は子どもの口呼吸が増えており、成長段階において歯並びの形成に悪影響を及ぼす可能性があるので早期の対策が必要です。
特にお子様がぽかんと口が開いたままになっていることが多い場合は注意しましょう。

そこで今回は、口呼吸が子どもの歯並びや身体に及ぼす影響、原因、見分け方などを分かりやすく解説します。

口呼吸が及ぼすデメリットとは?

まずは、子どもの口呼吸が及ぼすデメリットをご紹介します。歯並びや虫歯だけでなく、全身の健康にも悪影響を与えることが分かっているので、早めの対策が大切です。

歯並びが悪くなる

私たちの舌は、本来ならば口の中の上顎側にあたっていますが、口呼吸が癖になっていると空気を通すために口が開いているので、舌の位置が下顎の方にだらんと下がっていることが多くなります。
顎の骨の適切な成長を促し、歯並びを綺麗な並びに整えるには、舌が適切な位置にあり、唇や頬の力による圧力のバランスが保たれていることが大切です。しかし、口呼吸だと上顎がきちんと発達しにくくなり、唇の筋肉の力も弱くなってしまうため歯並びが悪くなるリスクがあります。
また前歯が前に突き出る「出っ歯(上顎前突)」や、歯がバラバラの方向に生える「叢生(そうせい)」などの原因となる可能性があります。

虫歯や歯周病になりやすくなる

口呼吸が癖になっていると、口の中が乾燥しやすくなって細菌が繁殖する原因となり、虫歯や歯周病を引き起こすリスクが高まります。
「唾液」は食べカスや汚れなどを洗い流してくれる自浄作用や、口腔内を潤し細菌の増殖を抑える抗菌作用を持っているのですが、乾燥状態が続くと唾液の分泌量が減少し、これらの作用が働かず細菌が繁殖しやすい環境になります。口臭が強くなる原因でもあるので注意が必要です。
また歯並びが悪いと、汚れが溜まりやすくなるため虫歯や歯周病のリスクはさらに高くなります。

風邪やインフルエンザなど感染症にかかりやすくなる

鼻の粘膜や鼻毛は、鼻呼吸で空気を吸い込む際にフィルターのような役割を担っており、空気中の細菌やウイルス、アレルギーを引き起こす可能性のある物質などをキャッチし、体内に侵入するリスクを下げる働きがあります。
しかし口呼吸の場合は、フィルターを通さずに直接空気を吸い込んでいる状態となるので、細菌やウイルスが侵入しやすくなり、その結果風邪やインフルエンザといった感染症を引き起こすリスクが高まります。

睡眠時無呼吸症候群・いびきの原因になることも

口呼吸が癖になっている子どもは、睡眠中も口呼吸になります。そのため寝ているときに舌が正しい位置に収まらず、喉の奥に下がって気道に落ち込みやすくなります。
舌で気道が塞がれて狭くなると、睡眠中に何度も呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群、いびき、呼吸障害などを引き起こす可能性があります。
また身体に十分な酸素を送れなくなることで正しい睡眠が取れなくなり、おねしょ(夜尿症)を引き起こしやすくなるだけでなく、成長障害の原因につながるリスクも高まります。

このほかにも食べ物をしっかり噛むことが難しくなる、顔の成長に影響が出る、集中力や注意力が低下しやすくなるなど、口呼吸が及ぼす悪影響は様々です。

子どもの口呼吸でよくみられる原因は?

子どもの口呼吸は単なる癖では片付けられない場合があり、何らかの原因が関係していることもあります。

歯並びや顎の骨の発達に問題がある

口呼吸によって歯並びが悪くなるリスクが高まりますが、その逆で元々の歯並びや、顎の骨の発達に問題があることが原因となって口呼吸を引き起こしているケースもあります。
例えば「出っ歯(上顎前突)」の場合は口をしっかり閉じるのが難しいため、結果的に口呼吸になりやすくなります。
また上顎の幅が狭く、舌を適切な位置に収めるスペースが不足している場合も自然と口を開けてしまいがちになります。

風邪やアレルギー性鼻炎による鼻づまり

風邪やアレルギー性鼻炎などが原因で鼻づまりの状態が続き、鼻呼吸しづらくなって一時的に口呼吸となる場合があります。
しかし、アレルギー性鼻炎が慢性化すると口呼吸が習慣化してしまう可能性があるので、鼻づまりの症状がみられるときは、まずは耳鼻咽喉科に相談して原因となる疾患をしっかりと治療しましょう。

扁桃肥大

扁桃肥大とは、喉の奥にある「口蓋扁桃」というリンパ組織(一般的に扁桃腺と呼ばれています)が通常よりも大きくなってしまった状態のことをいいます。扁桃肥大の子どもは鼻から空気を吸い込みづらくなるため、その結果自然と口呼吸するようになってしまいます。
舌の位置や動きに影響を及ぼす場合があるので、扁桃腺の摘出手術が行われることもありますが、10〜12歳ごろまでが扁桃肥大のピークで徐々に小さくなっていくのが一般的です。
そのため多くの場合が経過観察となりますが、気になる方は耳鼻咽喉科に相談してみましょう。

子どもが口呼吸かどうか見分けるポイント

子どもの口呼吸は、テレビを観ているときや就寝時などに口がぽかんと開いていないかどうかで見分けることができますが、それ以外にもいくつかの特徴があります。
当てはまる場合は注意が必要な一方で、判断が難しいこともあるので気になる方は早めに小児歯科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。

唇を舐めることが多い

口で呼吸することによって、唇が乾燥しやすくなります。そのため乾燥が気になって唇を舐める動作を繰り返す場合は、口呼吸の可能性が高いので注意深く観察してください。

唇が白くなっている

唇は一般的に上下ほぼ同じ色ですが、口呼吸が癖になっている子どもの唇は特に上唇が乾燥しやすいため白くなっていたり、乾燥の影響で唇が厚くなっていたりすることがあります。
唇が厚くなると、肌との境目があいまいになって一目で分かる場合もあります。

前歯が飲食物の色素で汚れている

口呼吸でいつも口をぽかんと開けていると、前歯が外部の空気にさらされるので乾燥しやすくなり、緑茶やコーヒーなどの飲食物に含まれている色素が歯に付着して変色しやすくなります。
前歯は特に影響を受けやすく、変色が目立つ箇所なので定期的にチェックしてみましょう。

このほかには滑舌が悪くなったり、猫背など姿勢が悪くなったりするといった特徴がみられますので、日頃からよく観察してみてください。

子どもの口呼吸は歯科医院で相談してみよう

子どもが口呼吸してしまう癖を改善する方法としては、口周りの筋肉を鍛える体操や、鼻呼吸への移行を促す「鼻呼吸テープ」の使用など、自宅でできるものもありますが、アレルギー性鼻炎といった病気が原因となっている可能性も考えられるので、努力では解決できないケースもあります。

また風邪や鼻炎の影響による鼻づまりの症状もなく、無意識に口が開いたままになっていることが多い場合は、歯並びや顎の骨の形が原因の可能性があります。
口呼吸が習慣化すると、虫歯や歯周病を引き起こしやすくなったり、出っ歯 (上顎前突) など見た目に影響が出たりする場合もあるため、一度歯科医院を受診してみましょう。

当院でも、お子様の口呼吸に関するアドバイスや指導を行なっていますので、不安なことや分からないことなどがありましたらまずはお気軽にご相談ください。