TOYOMAKI COLUMN お役立ちコラム
2024.11.05 小児歯科

乳歯の歯並びが悪いとどうなる? 子どもの歯を守るためのポイント

乳歯の歯並びが悪いと見た目が気になるだけでなく、噛み合わせや発音に支障をきたしたり、永久歯の歯並びにも悪影響を及ぼしたりする可能性があります。
今回は乳歯の歯並びが悪くなる原因や、その影響、早期の対策(第1期治療)について分かりやすく解説します。

乳歯の生え方の重要性とは

乳歯とは、子どもが生まれてから数ヶ月後に生え始める小さな歯を指します。
乳歯の歯並びが良いと、後に生える永久歯も正しい位置に生えてくる可能性が高くなるため、早い段階からケアしましょう。
乳歯の歯並びは発音にも関係しており、特にサ行やラ行の発音に影響を与え、発音がうまくできないと、言葉の学習にも支障が出ることがあります。
また、乳歯の一部が重なって生えていたり、隙間が大きすぎたりする場合は、汚れが溜まりやすくなり、むし歯のリスクが高まるので注意が必要です。

乳歯がきれいに並ぶためには、いくつかの要因が関係していますが、遺伝的な要素もあります。
両親の歯並びがきれいであれば、子どもの歯も同じように整う可能性が高く、これは主に顎の大きさや歯の位置に影響するためです。

乳歯の歯並びが悪くなる原因と影響

乳歯の歯並びが悪くなる原因は様々で、子どもの成長に大きく関わってきます。
指しゃぶりは、多くの赤ちゃんや幼児が無意識に行う行動ですが、これが長期間続くと歯並びに悪影響を及ぼします。
特に前歯が前に出てしまう「出っ歯」や、噛み合わせが合わなくなる「開咬」といった状態になりかねません。
また、口呼吸によって舌の位置が下がると歯が前に押し出されるため、同じような影響が出ます。

さらに、頬杖をつくと片側の頬に一定の圧力がかかり、歯が内側や外側に傾いてしまいます。姿勢も重要で、猫背のような姿勢が続くと顎に不自然な力がかかり、歯並びに影響が出る可能性があります。
このような癖は早めに気付き、意識して直してあげましょう。

そして、乳歯が生え揃うにつれて、歯と歯の間に少し隙間ができるのが一般的ですが、全く隙間がなければ将来的に歯が詰まってしまうことが懸念されます。
隙間がないと永久歯が生える際に十分なスペースがなく、歯並びが悪くなる可能性が高くなるのです。
隙間がないからといってすぐに問題になるわけではありませんが、もし乳歯が密集していると感じた場合は、早めに小児歯科で相談しましょう。

乳歯の歯並びが悪い例とその対策

乳歯の歯並びが悪い例は様々な種類がありますが、早い段階で対策すれば問題を最小限に抑えて健康的な歯並びを保てます。

受け口

受け口とは、下の歯が上の歯よりも前に出てしまっている状態です。噛む力が不均等になり、顎の発達にも影響が出る可能性があります。
矯正器具を使って噛み合わせを調整する方法が一般的です。

出っ歯

出っ歯は、上の歯が前に突出している状態を指し、顎の発達や指しゃぶりなどの癖が原因であることが多いです。
この場合も矯正が有効で、子どもの成長に合わせて治療を始めましょう。
また、日常の習慣を見直し、指しゃぶりなどの癖を早期に改善すれば、さらに効果的な治療が期待できます。

ハの字

ハの字の歯並びとは、前歯が内側や外側に広がっている状態を指し、遺伝や顎の発達不良、あるいは歯が生えるスペースが足りないといったことが原因として挙げられます。
特に歯が狭いスペースに無理やり生えるとハの字状になることが多いですが、これも矯正治療によって改善可能です。

すきっ歯

すきっ歯は、乳歯の間に大きな隙間がある状態で、顎が発達しているものの、まだ歯が小さいのが原因です。
永久歯が生えるとこの隙間は自然と埋まるケースが多いですが、永久歯が生え揃った後も隙間が残っていたら、矯正治療の検討が必要になります。
すきっ歯自体は必ずしも問題となるわけではありませんが、噛み合わせに影響が出ると判断されたら治療しましょう。

斜めやガタガタの歯並び

斜めに生えている歯や、ガタガタに並んでいる歯は、成長過程でよく見られる問題です。
特に乳歯が生え揃う時期にスペースが足りないと、歯が不規則に並んでしまうことがあります。
このような場合も、矯正器具を使って歯を少しずつ正しい位置に動かし、将来的な永久歯の歯並びを整えていきます。

自然に治る場合と歯列矯正が必要な場合

乳歯の歯並びが悪く見えても、子どもの成長に伴って自然に治るケースも多く、絶対に治療が必要というわけではありません。

自然に治る乳歯の歯並びとは

乳歯は前述したように、斜めに生えたり、隙間が多い状態になったりすることがありますが、成長とともに自然に治る場合もあるのです。
特に顎が発達してくると、歯が徐々に正しい位置に移動し、永久歯が生え揃う頃には問題が解消されるケースもあります。
ただし、顎の発達が十分でないと永久歯が生えてくるスペースが不足し、歯が重なったり、斜めに生えたりすることがあります。
そのため、子どもの顎の発達を注意深く見なければなりません。

早めの歯医者相談が推奨されるケース

もしも乳歯が重なって生えていたり、噛み合わせが大きくずれたりしているのであれば、早めに歯科医師への相談を推奨します。
また、指しゃぶりが長期間続いている子どもや、受け口のように下の歯が上の歯よりも前に出ている場合も、歯科医師の意見を聞きましょう。

乳歯列の時期(第1期治療)から、必要があれば予防の矯正をすることで、永久歯の治療が非抜歯や短期間で終わるケースもあるので、永久歯の萌えかわりの時期に矯正専門医院で相談してみましょう。

矯正歯科での相談と診療の流れ

もしも歯科医院で矯正が必要と判断されたら、まずはカウンセリングから始まり、子どもの歯並びや顎の発達状況を詳しくチェックし、適切な治療法が提案されます。
すぐに矯正を始めるのではなく、成長を見ながら定期的に観察する場合も多いです。
矯正治療は、専用の矯正器具を使用して歯を徐々に正しい位置に移動させます。
治療の期間や方法は状態によって異なりますが、基本的には成長期を利用して、効果的に歯並びを整えます。

乳歯の歯列矯正の方法

乳歯の歯列矯正は、「ブラケット」と呼ばれる金属の装置、もしくは透明なマウスピース型の矯正装置を使用して少しずつ正しい位置に動かします。
また、顎の成長をコントロールするためのヘッドギアを使用するケースもあり、子どもの成長に合わせて調整されます。

治療にかかる期間や費用

矯正治療にかかる期間は、子どもの成長具合や歯並びの状況によって異なりますが、一般的には数年かかるケースが多いです。
例えばブラケットを使用する場合は、2~3年ほど装着し続けるのが一般的で、定期的に歯科医院で調整を行いながら、少しずつ歯を動かしていきます。
歯列矯正は基本的には保険が適用されませんが、治療費の分割払いなど、家計に負担がかからないような支払いプランを相談できるケースもあります。

親が子どもの歯並びに注意する点

乳歯の問題を見逃さないためには、日常的に子どもの口元を観察しましょう。
例えば、歯が斜めに生えていないか、噛み合わせがずれていないか、指しゃぶりの習慣が長く続いていないかなど、細かい点のチェックが大切です。
口元の観察を通じて、異変を早期に発見できれば、歯科医師に相談するなどの適切な対策が取れるでしょう。

また、子どもに正しい歯磨きの仕方や食事のときの噛み方を教えることも大切です。
歯磨きは毎日の習慣として教え、将来の口腔衛生のためにも、早い段階から自分でケアできるように指導していくと良いでしょう。

子どもの歯並びや癖を注意深く観察しよう

乳歯の歯並びの適切なケアは、永久歯に直接影響を与える場合もあるため、早期からの観察と適切な対策が必要です。
口元の観察や癖の改善、そして定期的な歯科医院での検診を通じて、将来の健康的な歯並びをサポートしましょう。

当院でも、子供から大人まで幅広く、患者様にあわせたカスタムメイドの歯列矯正治療を行っておりますので、不安なことや分からないことなどがありましたらまずはお気軽にご相談ください。