子どもが歯医者を怖がらないようにする方法は？ 親ができる準備と楽しい工夫

「歯医者さんが怖い」という子どもは多く、連れて行くのが大変だという親の声をよく耳にします。
子どもが歯医者を怖がる場合、その恐怖の原因を理解し、寄り添うことが大切です。

そこで今回は、子どもが歯医者を怖がらなくなるための工夫やアイデアをご紹介します。

親が陥りやすい誤った対応と改善策

子どもが歯医者を怖がるのを見て、親が無意識に取ってしまう対応が恐怖を大きくしてしまう場合があります。
例えば、「泣かないで」「怖くないよ」といった声掛けは一見優しい言葉のように思えますが、逆に「何か怖いことがあるのかも」と感じてしまう可能性があるのです。
また、「お菓子ばかり食べてるからだよ」などと叱るような言葉をかけることも避けましょう。
「歯医者は自分が悪いから行かなくてはいけない場所」という認識を持ち、ますます足が重くなります。

さらに、親が歯科医院に対してネガティブな印象を持っている場合、それが無意識に子どもに伝わってしまう場合もあります。
「お母さんも嫌いだけど頑張るから」というような発言は、子どもにとって「やっぱり怖い場所なんだ」という確信を与えてしまうので注意が必要です。

子どもの恐怖心に寄り添いながら、ポジティブな印象を伝え、「歯医者さんに行くと歯がピカピカになるよ」「先生に会うのが楽しみだね」といった前向きな声掛けを意識して、歯科医院に行くことに対する抵抗感を少しずつ減らしていきましょう。

歯医者への恐怖心を減らす事前準備

子どもが歯科医院を怖がらずに通えるようになるためには、事前の準備がとても大切です。

歯医者に行く前に知っておくべきことは？

歯科医院に行く前には、何をするのか具体的にイメージできるようにしておきましょう。
何も知らずに行くと、子どもは「これから何が起こるの？」と不安になり、緊張してしまうため、歯科医院の待合室や診察室がどのような雰囲気なのかを事前に伝えるのが効果的です。
「待合室にはおもちゃがあるよ」や、「先生は白い服を着ていて優しい人だよ」と具体的なイメージを持たせると安心しやすくなります。
歯科医院のウェブサイトや写真を一緒に見て、どんな場所なのか一緒に確認するのもおすすめです。

子どもが好きなキャラクターの絵本や動画で歯医者に関するものを見せて、「このキャラクターも歯医者さんに行ってるんだね」などと話しかけると、歯医者を身近に感じられるようになります。
「歯磨きをしないと虫歯になっちゃうよ」というメッセージを、押し付けるのではなく物語の中で自然に伝え、子ども自身が気づきを得られるようにすると良いですね。
楽しみながら学べば、歯医者が「怖い場所」ではなく、「大切なことをしてくれる場所」だと感じられるようになるでしょう。

親子で行うシミュレーションのやり方

歯科医院での診察をスムーズにするためには、親子で行うシミュレーションも有効で、親が歯医者役、子どもが患者役を演じながら「お口を開けてみようか」「大きくアーンしてね」といったやりとりを練習してみます。
特に診察中の「お口を開ける」「じっと座る」といった動作は、実際の診察で必要となるので、家庭で繰り返し練習しておくと、当日の負担が減るでしょう。

シミュレーションを楽しくするために、小道具を用意するのもおすすめです。
歯医者さんごっこ用のおもちゃを使ったり、タオルを診察台の代わりにしたりして雰囲気を作るだけで、子どもの興味を引きながら練習ができます。
また、「次はお母さんが患者さん役だよ」と役を交代して遊べば、お医者さんの立場に立つ経験もでき、「歯医者さんは怖いことをする人ではない」というイメージが自然に形成されます。

子どものお気に入りのぬいぐるみや人形を患者役にしてみるのも良いアイデアです。
「クマさんもお口を開けてるよ」「次はウサギさんの番だね」と声をかけながら進めると楽しく取り組めるでしょう。

診察当日の注意点と声掛け方法

歯医者に連れて行く当日も親の対応次第で不安を大きく軽減できます。

子どもが安心できる声掛けのコツ

診察当日は明るい雰囲気で子どもに声をかけ、歯科医院に行くのを特別視しすぎず、日常の延長線上にある出来事として捉えられるようにしましょう。
「今日は先生にお口をピカピカにしてもらおうね」と、楽しみなイベントのように伝えると子どもの気持ちが前向きになります。
「怖くないよ」「泣かないでね」といった言葉は避け、「先生が優しく見てくれるよ」といった安心感を与える言葉を選びましょう。

また、診察が終わった後のことを楽しく想像させるのも良いですね。
「終わったら公園へ遊びに行こうね」といった具体的な楽しみを伝えると、「頑張ったら良いことがある」と感じ、診察に前向きな気持ちを持てます。

診察前のリラックス法

歯科医院の待合室での時間は、子どもにとって緊張が高まりやすい瞬間で、この時間をいかにリラックスして過ごさせるかが重要です。
待合室のおもちゃや絵本を活用したり、好きなキャラクターが出てくる絵本や動画を事前に用意したりしておくと良いでしょう。
また、ぬいぐるみやタオルなど、家で安心している時に触っているものを持っていくと、慣れた感覚が子どもの心を落ち着かせてくれます。

歯医者でのポジティブな体験を作る

歯医者での体験が子どもにとってポジティブなものになるかどうかは、その後の歯医者へのイメージに大きな影響を与えます。
診察が終わった後の親の対応や言葉かけによって、子どもが「また行きたい」と感じるか、「二度と行きたくない」と思うかが決まることも少なくありません。

診察後に褒めるべきポイント

診察が終わったら、まずはたくさん褒めてあげましょう。
「よく頑張ったね」「お口を大きく開けられて偉かったよ」と、具体的にどこが良かったのかを伝えると、子どもは自分の努力をしっかりと認識できます。

診察中にできた小さな行動に注目するのもポイントです。
「先生のお話をちゃんと聞いていたね」「じっと座っていられたね」など、できたことを一つずつ取り上げて褒めると、「次も頑張ろう」という気持ちになります。
こうした褒め言葉は、診察中に少し泣いてしまった場合でも有効です。
「ちょっと泣いちゃったけど、最後まで頑張ったね」とポジティブに声をかけると、自信を取り戻せるでしょう。

小さなご褒美を用意する

褒めるだけでなく、小さなご褒美を用意するのも効果的です。
これは「治療が終わったから物を与える」という意味ではなく、「頑張ったことを認める」ためのものです。
診察後に公園へ行く約束や、お気に入りのシールや小さなおもちゃなど、子どもが喜ぶようなものをあらかじめ用意しておきましょう。

ただし、「おもちゃを買ってあげるから頑張って」などとしてしまうと、ご褒美が目的となり、本来の診察の意義が薄れてしまう可能性があります。
あくまで子どもの努力を肯定し、「次も頑張りたい」という気持ちを引き出すためのものとして活用しましょう。

診察後の不安や疑問に寄り添う

診察後、「今日はどうだった？」「どんなことが一番大変だった？」と優しく質問し、子どもが思ったことを自由に話せるような雰囲気を作りましょう。
例えば、「お口を大きく開けるのが難しかった」と言われた場合、「よく頑張ったね。次はもっとリラックスできる方法を考えようね」とポジティブに返答するのが大切です。
また、「先生が使った機械が怖かった」という話が出たら、「そうだったんだね。でもあの機械があると歯がもっと元気になるんだよ」と優しく説明すると、次回の不安を軽減できます。

怖い場所ではなく大切な場所として認識させよう

このように子どもの歯医者への恐怖を防ぐには、親のサポートが欠かせません。
子どもの気持ちに寄り添いながら、歯医者への恐怖心を軽減するための工夫を日常生活に取り入れることが大切です。
歯科医院が「怖い場所」ではなく、「歯を守るための大切な場所」であるという意識を育てるために、親子で楽しく準備を進めましょう。